『メイン曲の版(エディション)を変更するので、各自パート譜を修正されたし』
なんでも、絃の都合で違う版のパート譜を使いたいので、それに合わせるんだそうです。この期に及んで「げげっ!?」な話ですが、コンマスのご判断なので仕方ないですね。
エディションの問題については小人も学生時代に勉強したことがありますが、楽譜って大きく分けて4つに分類できるそうです。
①ファクシミリ版:自筆譜などをそのまま印刷したもの
②原典版:学者が校訂し、本来あるべき姿に近づけたもの
③校訂版/実用版:大演奏家が校訂し、「こう弾くべき」と書いたもの
④その他:「別にな~んも考えてませんが何か?」的なもの(笑)
フツー考えると『作曲者本人が書いたもの(自筆譜)が一番正しいに決まってるやん?』と思いがちですが、実は自筆譜って「草書の掛け軸」みたいなもんで、素人(学者ではない普通の演奏家)には読めたもんじゃないんです…
これがハイドンの自筆(交響曲95番/大英図書館蔵) |
上の楽譜と同じ部分の出版譜 (楽器の並び順が違ってますね) |
このように自筆譜そのままでは実用性に乏しいので、どこかのエラい先生と出版社が演奏用の楽譜を準備してくれる訳ですが、その解釈・校訂によって色んな版が世の中に出回ることになる訳ですね。
普段は配られた楽譜をそのまま演奏するだけなので、版を意識することはありませんが、良い機会なのでちょっと比べてみました。
ハイドン:交響曲104番「ロンドン」第3楽章・トリオ冒頭部(1stFg) |
3つの版で比較してみたところ、スラーのかかりかたがバラバラでした!
今回はブライトコプフ(新版)からH.M.P.(ウニヴェルザール)に変更になったのですが、どうも小人的にはこのアーティキュレーションはしっくりきません。アウフタクトのメロディーなのに、このスラーの掛け方っておかしくないですか?どうも校訂者が勝手に書き足しただけのような感じがしますが、ここはOb・Fg・Vnが絡むので、イヤだからといって勝手に変える訳にはいきません。
もしハイドンがホントにこう書いたのであれば「トリッキーなところがハイドンらしい」とか言うんでしょうけどね…(笑)