2014年6月27日金曜日

フランス式=フランス流ではない(1)

 オケや吹奏楽にバソンなんぞを持って行くと、よくこんな事を言われます…
 
『こだわりですね』
『フランスものお好きなんですね』

 う~ん、説明するのも面倒なんでいつも笑って誤魔化してしまうんですが、小人的には特にこだわりも思い入れも無いんですよね~(汗) 確かに「バソン」をネットで検索すると

『今や音色にこだわるフランスの一部のオケでしか使われていない』

…といった記述を見かけます。これ、多分正しくないんですけど、ファゴットに対するバソンの構成比と『のだめ』のポール君のイメージでこういう風に思われてしまっているようです。
 
 
 Youtubeを探せば「フランス人でないバソンの演奏」がたくさんアップされています。いくつか紹介しておきましょう。
 
Cecil James氏(イギリス)

James家はお父さんが王立音楽院の教授だったり、おじさん達がロンドン響やBBC響に居たりするイギリスのバスーン一族だったそうです。ご本人もフィルハーモニア管やデニス・ブレイン木管五重奏で活躍されました。お父さんがバソン吹きだったので、息子も自然とそうなったようです。

ちなみにこの録音、言われなければバソンって判らないと思います。ファゴットとバソンの聴き分けって、世の中で言われてるほど簡単ではありません。

Howard Dann氏(イギリス)

Cecil James氏は一世代前の方なので、現役の方も紹介しておきますね。
 
Luc Loubry氏(ベルギー)

これも動画が付いてないのでバソンと判りにくいですね。
一応、この人がバソン吹きだという証拠を…↓

右がLoubry氏。
ベルギーはフランス語圏とも言えなくはないので微妙なトコなんですが、音楽史的にはフランドル楽派「からの~」ということで、一応フランス外として挙げさせていただきました。
 
Jim Morgan氏(アメリカ)

伴奏は明らかにアマオケですが、Morgan氏はプロのようです。アメリカ人のバソンってちょっとイメージ沸きませんが、例えばボストン・シンフォニーの歴代首席奏者の内、何人か(1901-1905 A.Debuchy、1918-1936 A.F.Lausなど)はフランスから来たバソン奏者なので、アメリカにお弟子さんの系統があってもおかしくありません。(→出典:The Stokowski Legacy

 ちなみにDebuchy氏はかのEugène Jancourtのお弟子さんだそうで、よくアメリカからJancourt式のバソンが売りに出るのと何か関係があるのかもしれません。小人のバソンも実はアメリカの方から譲って頂いたものです。前のオーナーさんはアーミーバンドで吹いてたそうなので、フツーにスーザとかジョプリンとか演ってたんでしょうね。
 
 
 ま、これくらい出しとけばバソンが「もはやフランスにのみ生息する絶滅危惧種」でも「フランス音楽専用ツール」でもないとご理解いただけると思います。皆さんフツーに<バスーンとして>吹いておられますよね!?
 
 ちなみに冒頭に戻って「なぜ小人はバソンを吹いているか?」ですが、手持ちの3本の楽器の中でクランポンが一番マシだから(あとの2本はファゴット)、という単純な理由です。誰かモーレンくれたらあっさり乗り換えますよ(笑)。

まあ「多数派が嫌いなひねくれ者だから」というのも少しはありますけどね(笑)
 
 

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