2014年4月30日水曜日

Don't think ! Feel !

 ある時、ネットでこんな趣旨のレコード評を見かけました。某フランスオケが録音した『第九』に対して…

『バソンの音色に違和感を感じた。やはりベートーベンにバソンはそぐわない…』

 
 正直申し上げます…ファゴットとバソンを聴き分けられる良い耳と経験をお持ちの割には残念な感想ですね…何が「やはり」なのか小一時間問い詰めてみたい感じです(笑)
 
 
どうして残念なのか、まずは年表を確認してみましょう…
・1802年 ベートーベン、ハイリゲンシュタットの遺書
・1810年 ベートーベン、この頃には全聾になっていたと言われる
・1823年 アルメンレーダーがバスーンの改良に関する論文を発表
 (その後ショット社で試作を重ねる)
・1825年 ビュッフェが工房設立
 (この年からクラリネット製造を開始。バスーンの製造開始年は不明)
・1826年 ベートーベン『第九』初演
・1831年 アルメンレーダーとヘッケルが工房設立
 
※「ベートーベンがアルメンレーダーの新しいバスーンに興味を示し1本注文した」という逸話をあちこちで見かけますが、バスーン吹きでもなく耳も聞こえないベートーベンが何のために新しい楽器を注文したんでしょうね?そこについては誰も触れてません…もしかして、ソースは例によってシンドラーさん???
 
 
さて、この年表を見て分かる事実は…
①ヘッケル式やビュッフェ式が出現する前にベートーベンは聴力を失っている
 →ベートーベンはクラシカルバスーンの音色しか知らないはず
②初演の年にヘッケル式はまだ試作段階(おそらく初演では使われていない)
③ビュッフェ式もおそらく初演では使われていない
 
 
 つまり「バソン云々」という観点自体がベートーベンの意図とは全然関係の無い、後世の人間の勝手な感想でしかないんですね。先のレコード評にある「違和感」とか「そぐわない」とかいうのは全くの言いがかりで、「自分は普段ドイツオケで聴いてます」と言ってるに過ぎません…(笑)
 
 
 音楽(特にクラシック音楽)を聴く時に、知識が理解を深めてくれる事は多々あります。しかし誤った情報や思い込み、世間の評判などによって的外れな結果にたどり着く危険性にも注意する必要があります。今回紹介した話は『ビュッフェ式=フランス音楽』という先入観が耳を曇らせた一つの例ですね。「フランス式」「French Bassoon」「バソン(フランス語)」といった呼び名もステロタイプなイメージを増幅させてるんでしょう。『のだめ』のポール君にもちょっと責任があるかもです(笑)
 
 
時には頭を真っ白にして“感じる”事も『悟り』への道ですよね、李小龍老師?

 

…違和感、ありますか?
 
 

2014年4月27日日曜日

一発勝負!

 今日はオケの練習日でした。

 今回の曲目の中に某ケータイのCMに使われた曲があるんですが、原曲に出てくるテナーサックスのソロをどうするかが懸案事項になっていました。
 
 たった4小節だけのためにサックス吹きを呼ぶ訳にもいかないので「ファゴットで吹いてしまえ」という話になっていたんですが、楽器が借りられることになったので小人が持ち替えで吹くことになりました!

プロコ先生、このパート譜は非道くないですかぁ?

 今日楽器を持って来ていただいたので、挑戦してみました。以前やりかけた「オーボエ~バリサク」よりは難易度低いですが、音出し無しでいきなり『どソロ』って…ハンパなく緊張しますね(汗)
 
 ソロ自体はそんなに難しいフレーズではないので、練習云々よりは如何に平常心で吹けるかがカギになると思います。
 
 いつになくエキサイティングな本番になりそうです…(笑)


良い子はマネしないでね!
 
 

2014年4月20日日曜日

奥義発動!

 今日は春のコンサートに参加すべく、久々にオケの練習に顔を出しました。例の曲の練習もあったので、『奥義・ウィスパーロック』を発動してみました!
 
「え~?ウィスパーロックなんか奥義でもなんでもないやん。基本テクやろ!」と思うのは普通のファゴ吹き。小人の愛用している骨董品にはロックキーも第2ウィスパーも無いのです。
 
…なので文房具屋さんで買って、持って行きました!?
 
はい、目玉クリップで挟むという力技…
タンポが傷むのでバネをすご~く弱めてます

 クリップひとつで如何に楽になるかを実演してみせたところ、皆さんにバカウケでした!
 
 
良い子はマネしないでね!

 

2014年4月15日火曜日

餅は餅屋

 先日のバソン、結局修理してもらう事にしました。人間は自然治癒力がありますが、楽器は放っといても治りませんからね。
 
 そんな訳で、今日は久しぶりに管楽器修理センターさんへ。
症状はあらかじめメールで伝えてあったのでさっそく修理開始。ブロックを作り直すのであれば一週間ぐらいの「入院」も止むなしと思っていたんですが、外側に薄いコルクを巻きつけることでサクッと直していただきました!
 
「軍艦巻き」作戦とでも申しましょうか…(笑)

 この状態でテストしてみるとコルクを水で膨らませた時と同じくらい鳴るようになったんですが、なんと「他にもどこか漏れてますね」との指摘が!?→→→あちこち診てもらったところ、小さなパッドが完全に浮いている事が判明!
 
右手人差し指と中指の間にある、ホントに小さなヤツです

 パッドを交換してもらった途端、最低音域がブイブイ鳴り出しました!「この楽器、こんな鳴るんやー!」体感2割増した感じですかね。逆に「これでよく低音出てましたね」と言われる始末…(汗)
 
 
 やっぱり『餅は餅屋』、吹き手が気付いてないところまで直してもらえるとは…診てもらって大正解でした。帰ってから練習しましたが、やっぱり楽器が鳴ると吹いてて楽しいですね。
 
 
ありがとうございました、本番頑張りますっ!!

 

2014年4月11日金曜日

リハビリ中…

 子供の進学関係も一段落したので、今日は久々に楽器の練習日。少し前にオケの方から「都合がつけば乗って欲しい」と送っていただいていた楽譜の音出しをしてみました。
 
春はいつも名曲コンサートなので曲数が多いんです

 「今年はバソン吹く」なんて大見得切った割には(2013年12月24日投稿『自分の~なんちゃら』参照)全然練習してなくて、しかも先月は吹奏楽の定演でサックス乗りだったモンで…
 
 久々に吹いてみると、最低音域が全く鳴りません。どうもブーツ管のコルク栓が痩せてしまって息漏れしているようです。水に浸して少し膨らませるとなんとか鳴り出しました。本番までに修理するか、今回は「緊急脱出」するか、早めに決めなければなりません。どうも奏者だけでなく、楽器にもリハビリが必要なようです(汗)


 あと練習していて困ったのがこの曲…
 
はい、有名なあの曲です!

 現行のビュッフェのバソンには左親指に第2ウィスパーキーが付いているので問題無いんですが、小人の楽器は旧式なので付いていません。指使いとしては
 
F#:●●●|●●●F f#
       
C#:●●●c#|○○○
 
となり、不可能ではないのですが左手小指の wc# の反復運動がガチャガチャうるさくてイヤなんです。 
 
【問題の箇所をバソン吹きはどうやって吹いているか?】

1stの方はなぜか親指パタパタしてますね。2ndの方のように「親指押さえっぱなし・小指パタパタ」という動きのほうがノーマルだと思うんですけどねぇ…実はフレンチベルのファゴットだったりして(笑)
 
 これは『奥義・ウィスパーロック!』を繰り出すしかなさそうです。幸い音3つしか出てきませんしね…(爆)