2012年7月20日金曜日

『お子様用』という思想

 ヨーロッパには色んなジャンルに『お子様用』のアイテムが存在するそうです。パソコン、カメラ、万年筆、そして楽器…分数ヴァイオリンなどは日本でも普通に使われてますが、こと管楽器となると事情が違ってきます。なかなか面白いものがあるんですが、日本ではまずお目にかかることはありません…

 ファゴットで言えば、まずスケールダウンしたファゴッティーノやテナルーンなどが思い浮かぶんですが、他にも並ファゴットをお子様用にアレンジしたものが存在します。今回は日本ではまず見かけない、そんなタイプについてご紹介します!


1. Fagonello
 ドレスデンのHEYDAY'Sというメーカーが作っている楽器。全長98cm/重量1.25kg(並ファゴットの1/3)で5歳から吹けるそうです。



 ベルが短く、最低音はC。並ファゴットと同じ構造に見えますが、実はワンピースボディで楽器の組み立てが不要なんだそうです(スワブ通すの大変そうですが…!?)

YouTubeに音源もアップされています!

ベルが無いとピッチが不安定になるんですかね?音色も少し荒っぽいような…


2. Oscar Adler Modell 1350-Fagott fur kinder
 天下のアドラーがこんな楽器を出してたなんて、軽く衝撃… 

Model 1357と比べると「思い切った」度が伝わってきますね(笑)
 
 こちらも最低音はCなんですが、『Plexi-Resonator』なるもの(ベル上部の乳白色の筒)がオマケで付いてくるようです。レゾネーターとは共鳴器・共振器の意味ですが、全体のイントネーションを整える為のパーツのようです(並ファゴットでベルジョイント外して吹くとイントネーション狂いますよね?)。
 

 このモデルのポイントは、<コスパ>で取り上げた1357/120と比べて更に£1,000も安い(ロンドンの楽器屋・HOWARTHの実売価格による)ことなんです!ファゴットのベル管ってそんなにコストがかかるモノなんですかね?
 
 あと、チェコのAmatiや中国の津宝(JINBAO)も同様のモデルを製造してますね…

 


3. Schreiber Bassoon Kid Set
 これは先の2つとはちょっと毛色が違っていて、並ファゴットをお子様仕様にするためのパーツです。シュライバーのHPには載っていませんが、某通販業者のサイトで見つけました(ただ、その後SOLD OUTになっていますので、廃番商品かもしれません)。
 
 
 当時のサイトの説明に「このベルを使う場合はLow-Bレバーを外す」と書かれていましたので、やはり最低音はCになるんだと思います。ボーカルもかなり曲げて下げてますね。小さいパーツは外した外したレバーの<跡地>に入れるものでしょうか。ベル端をすぼめる事でアドラーのようなレゾネーターを差さなくても良い仕様になっているようです。
 
                                            *

 こうやって見ていくと、お子様用ファゴットには共通の思想がある事がわかります。
  ①小型化(全長の短縮)
  ②軽量化(全長の短縮、キーの省略)
  ③バランスの変更(全長の短縮、ボーカルの形状)

 最低音を犠牲にしてでも全長を短くするメリットは大きいですね。しかも小型・軽量のファゴットなら大人だって欲しいです!最低音のBやHが出ませんが、そんなに使った記憶も無いし…。過去の本番曲の楽譜を見返してみると…

  ・B:1stには全く登場せず(2ndにはあり)
  ・H:1回だけ使用(ただし2ndとユニゾン)

 お~っと!1st限定なら使えるんじゃないですかぁ?(笑)狭い練習場で2ndの人にぶつける心配もなくなるし…かなり物欲メーター上がってきました!!!



2012年7月13日金曜日

コスパで選んでる?

…な~んて上戸彩さんによく聞かれますが(笑)、引っ越しはともかく楽器の場合ってどうなんでしょう?
 
 以前、オーボエに関して「フル装備」と「プア装備」を話題にしました(2010年3月6日「フル装備ゲット!」参照)。当時、プア装備ではどうしても吹けなくて一気にフル装備となった訳ですが、中国製だったこともあってあまり値段については考えませんでした。
 
 ところが最近ネットでこんなものを見かけてしまったので、ファゴットに関する「コスパ」を考えてみました。
 
 
 
 アドラーのNo.1357から使用頻度の少ない2つのキー(薬指B、親指As)とバランサーを取っ払うと25万円(27.3%)も安くなるんだそうです!なんか計算が合わない感じはしますが、企業努力には感服しますね。
 
 小人が使っているCello&Coo Fg-2は「中の上」ぐらいの装備だと思うんですが、今までの本番曲を振り返って使用頻度を検証してみました。
 
 
 ①Fisトリル:使ったことがない
 ②Cisトリル:これも使ったことがない
 ③薬指B:トリルには便利なんですが
 ④小指Fis:もっと使えば便利なんですが、手が小さいので避けがち…
 ⑤High-D:過去に1回だけ、ウラ技的に使用
 ⑥親指As:これも1回だけしか使ってない
 
 
 こうやって見てみると、①⑤⑥は入門機には付いてない場合が多いですし、アドラーが取っ払ったキー③⑥もきっちり含まれてます。楽器のランクって、やっぱ長年の経験に基づいてるんですね!


 キーって特定の音型で「無いと吹けない」ものと「あれば楽」なものの2種類がありますが、小人のように下手くそなアマオケに所属している限りは「無いと吹けない」音型に当たる確率は低いようです。
 
 次にファゴットを買い替えることがあればコスパも検討したいと思います。差額でクラとか買えますもんね…(爆)