2016年8月13日土曜日

カタログにダマされるな!

 以前このブログでwikiの「ファゴット」の項についてこき下ろしたことがありますが、久しぶりに見るとかなり編集が入って改善されていました。小人が指摘したバソンに関する5箇所についても、2箇所は削除、1箇所は表現が修正されていました(まだ間違ってますけどね…)。wikiに起因する「都市伝説」まがいの誤解が少しでも減ればいいなと思います。
 

 話は変わりますが、ファゴットVSバソンの話で必ず出てくる「フランス式はキーが少ない(=ドイツ式の方がキーの数が多い)」という<常識>。2つ前の投稿でスルーしてしまったので、改めて調べてみました。
 
 

 必要な情報は①楽器表裏の画像、②その楽器をメーカーが「何キー」と呼んでいるか、の2つ。手持ちのカタログやメーカーのHPを漁ってみたのですが、客席側の画像って意外と無いもんですね。上の写真に写っているカタログで言うと、ヤマハとシュライバーは奏者側の写真しか載っていません。また何キーかも明記されていません。
 
 ネットでメーカーのサイトも漁ってみましたが同じような感じですね。2つの条件を満たしているメーニッヒ・アドラーのHPからリサーチを開始してみます。
 
アドラー1358(メーカーHP写真を加工)

 これはアドラー1358ですが、High-D、High-E、替えAs付きという標準的な仕様の楽器です(この写真にはオプションのキーが1個余分に写っていますが)。アドラーではこの機種を「26キー」と表示しています。写真で確認すると、番号の部分を数えているようです。この数え方を仮に<アドラー方式>としましょう。
 
モースマンのカタログより447E

 次にモースマンのカタログで447Eを見てみます。キーの仕様は先のアドラー1358と同じなんですが、カタログにはなんと「28キー」と書かれています。2個の差はLow-Cキーの『双葉』(アドラーの写真で言うと㉑)を2個と数え、ウィスパーロックキーをウィスパー本体とは別に数える事で生じているようです。
 
 1つの役割のキーを2個とカウントするのは「どうなん?」と思うんですが、確かに楽器によってはLow-Cが『双葉』でないものやウィスパーロックを持たないものもありますので、この数え方もあながち間違っているとは言えません。
 
 どちらが正しいとかではなく、「同じ仕様の楽器をアドラーは26キーと言い、モースマンは28キーと言っている」というのが現状です。世界標準化機構(ISO)の皆さま、是非ファゴットのキーの数え方も規格化して下さい!カタログの数字だけ見ていたら、モースマンの方がキーがたくさん付いていてお得だと思ってしまいますので…(笑)
 
 

 更に小人の使っている「Jancourt 22キー式」の運指表を見てみましょう。
この運指表の面白いところは「キーで開閉される音孔」に番号が振られている事です(だからとっても読みにくいんです…汗)。そして数字を振られた音孔の数が22個なので「22キー式」と名付けられているんですが…
 
 実はバスジョイントとベルには音孔が6個あるんですが、押さえるところ(普通に考える「キー」)は5個しかありません。逆に両手の中指で押さえるリングキーには番号が振られていない(=カウントされてない)など、<アドラー方式>とも<モースマン方式>とも違う独自の世界になっています。
 
 そんな訳で22キーだと思い込んでいた自分の楽器なんですが、<アドラー方式>で数え直すと24キーなんですねぇ。ちなみに現行のクランポンのバソン(BC5613)だと23キーになります。
 

 
それではアドラーのHPに戻ってファゴットのキーの数をおさらいしてみましょう。model1356が21キー~model1361が27キーとなっています。ランクによって違いはありますが、25~26が標準的なキーの数だと言ってイイでしょう。
 
 対するクランポンのバソンは23キーですが、左手親指で6個の音孔を5個のキーで制御できることを考えればその差はせいぜい1~2個、確かにファゴットの方がキーが多いですが、ことさら取り上げる程の差ではありません。ファゴットとバソンを並べた写真(よくある奏者側のヤツ)を見ると確かにバソンのキーが少ないイメージですが、(あまり写真では見ない)左手客席側はファゴットの方がキーが少ないので、ちゃんとカウントすると「実は大して変わらない」というのが事実なんです…( ー`дー´)キリッ

イメージ、ですよね?(笑)

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 さて、冒頭のウィキペディアに戻りますが、編集によって以前には無かった文章が増えてました…
 

 ファゴットって「キーの数が30前後」なんだそうです。「30前」はよく見かけますが、「30後」は盛り気味の<モースマン方式>でも該当する楽器が見当たりません。
 
 「数え方は人それぞれ」と言ってしまった後なので決して「間違ってる!」とは言いませんが、<wiki方式>ではどう数えてその数字になってるのか明示していただきたいところです…(笑)
 
 
 
 

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