2011年9月16日金曜日

説明(その2)

『機構が単純であるため、音程が取りにくいなどの難点もあるが…』
引用元:「ファゴット」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』。2011年8月14日 (日) 04:52 UTC、URL: http://ja.wikipedia.org
 
 『機構が単純』というのは間違っていません。フランス式にはドイツ式のように「3つの穴を1つのカップで塞ぐ」とか「胴体を貫通する連結棒で反対側の穴を塞ぐ」といった凝った造りはありませんからね。『音程が取りにくい』のも運指がドイツ式に比べて複雑なので同意します。
 
 …なら間違ってないやん?と言われそうですが、実はこの表記にはファゴットの歴史に関する視点が全く欠落しているんです。
 
 ファゴットはその祖先の楽器からバロック~クラシカルと少しずつ進化してきましたが、フランス式の楽器はこの<少しずつ進化>の延長線上にある楽器です。一方、ドイツ式の楽器はアルメンレーダーとヘッケルによって従来のファゴットを<革命的にリフォーム>した結果出来上がった楽器です。つまり「音程を取り易く(運指を簡単に)する為に、構造を複雑にした」のがドイツ式なのであって、表現が逆なんですね。
 
モーツァルト:バソン協奏曲K.191(バソン独奏:モーリス・アラール)

 
 アラール先生のような名手の演奏を聴くと、『音程が取りにくい』っていうのはあくまでもドイツ式との相対的な話であって言い訳の材料にはならんなぁ、と思います…(汗)
 
 

2 件のコメント:

tecomacla さんのコメント...

クラリネットだとドイツに“由緒正しい”形式が受け継がれたのに,バスーンだとフランスなんですよね.
ドイツ式クラとフランス式バソンが入った合奏をしたら楽しそうに思えてきました.

大管小人 さんのコメント...

tecomaclaさん、いらっしゃいませ!

“由緒正しい”っていい表現ですね!いただきです(笑)

ドイツ式クラとフランス式バソン、いいですね。今度モーツァルトのトリオとかどうですか?絶対楽しいと思いますよ~d(^-^)