2011年9月4日日曜日

そして都市伝説に…

 世間一般ではマイナーなファゴット、その中でも更にマイナーなフランス式の楽器なんぞを吹いてみて分かった事…
 
「誰かが間違った事を言っても、訂正する人が居ないと
いつの間にかそれが<事実>になってしまう」
 
 例えばwikipediaで『ファゴット』の項目を見てみましょう。
『フルート』や『クラリネット』などの項目と比べ、歴史に関する記述が欠けていたり項目が整理できてなかったりで全体的にグダグダな感じがしますが、特に面白いのが【種類】の項。少し長いですが引用してみましょう。

『現在多く用いられているのはドイツ式の楽器であるが、フランス式の楽器もあり、フレンチ・バッソンまたはバッソンと呼ぶ。機構が単純であるため、音程が取りにくいなどの難点もあるが、音色がホルンに近く表現がより豊かであるとされる。ただ、単にキーシステムの違いというよりも奏法における違いが甚だしく、プロの奏者にとっても、実際上は全く別個の楽器と意識されているようである。なお、バッソンは音量があまり大きくないことから、ベルリオーズのように1パートに2本重ねて4管として使われることが多い。時折フランス系の作曲家のオーケストラ曲の編成で、ファゴット/バッソンのみ本数が多いことがあるのはそのためであるといわれる。』
「ファゴット」『フリー百科事典 ウィキペディア日本語版』2011年8月14日(日) 04:52UTC、URL: http://ja.wikipedia.org/


 実はこの部分の内容、ほぼ間違ってます。それを知ってか知らずか、「~とされる」「~ようである」「~といわれる」と、ここだけ伝聞調で書かれています(百科事典としては有り得ないですね)。自信無いなら書かなきゃイイのに…(笑)

ただ、その後誰も編集(訂正)しないので、この内容のままで引用されているのをよく見かけます。
  ・「機構が単純で音程が取りにくい」
  ・「音色がホルンに近い」
  ・「奏法の違いが甚だしく、プロ奏者は別個の楽器と意識している」
  ・「音量が小さいのでフランスでは時折倍管で使われる(ベルリオーズの例)」
といった事が書かれていれば、ソースはwikiと考えてほぼ間違いないでしょう。
 
特にソースを明示せずに転載されている例を一つだけ挙げておきましょう。


 こうやって色んな人がどんどん転載してゆくうちに、間違った知識が【常識】になるんでしょうね。ここまでくると、もはや都市伝説と呼んでもいいかもしれません…(笑)
 
 長くなりましたので、個々の説明は改めて…
 
 

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